恋口の切りかた


それはきっと、私が


いつからかずっと、自分の中で

気持ちも思考も、ある領域には立ち入らないように遠ざけていたからで。


円士郎に身を委ねそうになったあの夜のように時々、

ふいにその場所に迷い込みそうになっても、


その感情を必死に見ないようにし続けてきたからだ……。



抑えつけるほどに、その領域に立ち入ることは許されざる重罪に思えて、

結城家や父上、母上に対する重大な裏切りのように思えて、


私は、

自分の心がその場所に近づくだけで怖ろしくて堪らなかった。
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