恋口の切りかた
秋山隼人は、今のところ俺が使える唯一の正式な部下ということになる。

隼人とは情報を共有する必要があるだろう。

俺は事件についてこれまでわかっていることを説明して、伊羽から役方よりも早く全貌をつかめと言われていることについては伏せ、

役方の連中を出し抜いてこちらが事件を解決すれば手柄に繋がるから、役方には無闇にこちらの情報は漏らさないようにと告げた。


それでは助役にならないと、隼人はもっともな意見を口にして、

俺は、もちろん必要と判断した情報は俺から伝えると言っておいた。


まあ、これは嘘ではない。

直接使える人間が少ない以上、遊水の真似事ではないが──俺は役方の連中にも必要な情報を与えて、うまく利用するつもりでいたし、

一つ俺には考えがあって、実はこの事件を番方の手で解決して手柄にしたいという思いも本音だった。





秋山隼人が徹底的に反対したのは、

留玖にもこの渡世人がらみの事件を調べるのに協力してもらうと説明した時だった。


「何考えてるんだ、アンタ! 自分の妹が可愛くないのかよ」


隼人はこれまで留玖と何度か軽く手合わせしていたし、

留玖の剣の腕が俺と同等かそれ以上だということは、理解していると思っていたのだが。


俺がそう言っても、

「そういう問題じゃねえだろ」

と、不機嫌な返事が返ってくるばかりだった。

「はあ!? じゃあ何が問題だ?」

俺が尋ねると、隼人はイライラした表情で、


「彼女が! 女だってことに決まってんだろうがよ!」


そう言った。
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