恋口の切りかた
つまり、その話が本当だとすると──男は夜道で男自身の葬式に行き遭ったということだった。
「待てよ。まあ、俺にはそんな記憶はねえが……それじゃああんたは、この俺から『話しかけるな』と言われたのに、今こうして俺に話しかけてきちまった、ってことか?」
俺が問うと、男は真っ青な顔のまま、その手に握った匕首をぎらつかせ、
殺されてたまるか! とわめきながら俺に飛びかかってきた。
俺はばっさりとそいつを斬り捨てて──
駆けつけてきた町同心の話では、この男は一月前に奉公先の商家の家族を皆殺しにして、金を奪って逃げていたのだそうだ。
次の晩、俺がそいつの野辺送りを眺めていると、不思議そうな顔で自分の葬送の行列を眺める何も知らない男がいた。
「ああ、あんたか」と、俺はそいつに話しかけ、忠告をしてやったのだが──
──さて、あの男は今度は俺の忠告を守ったのか……
「……あの二つの晩を行き来する亡者となって、何度も何度も──永遠に俺に殺され続けるのが、あの男のやらかした罪に対する罰なのかもしれねえな」
ニヤニヤしながら、俺は自分の話をそう締めくくって
「いやああああ──っ!!」
盛大な悲鳴を上げて、留玖が鳥英にしがみついた。
「待てよ。まあ、俺にはそんな記憶はねえが……それじゃああんたは、この俺から『話しかけるな』と言われたのに、今こうして俺に話しかけてきちまった、ってことか?」
俺が問うと、男は真っ青な顔のまま、その手に握った匕首をぎらつかせ、
殺されてたまるか! とわめきながら俺に飛びかかってきた。
俺はばっさりとそいつを斬り捨てて──
駆けつけてきた町同心の話では、この男は一月前に奉公先の商家の家族を皆殺しにして、金を奪って逃げていたのだそうだ。
次の晩、俺がそいつの野辺送りを眺めていると、不思議そうな顔で自分の葬送の行列を眺める何も知らない男がいた。
「ああ、あんたか」と、俺はそいつに話しかけ、忠告をしてやったのだが──
──さて、あの男は今度は俺の忠告を守ったのか……
「……あの二つの晩を行き来する亡者となって、何度も何度も──永遠に俺に殺され続けるのが、あの男のやらかした罪に対する罰なのかもしれねえな」
ニヤニヤしながら、俺は自分の話をそう締めくくって
「いやああああ──っ!!」
盛大な悲鳴を上げて、留玖が鳥英にしがみついた。