君があたしにくれたもの
でも、杏子達には何も言わなかった。まだ朔弥を想っているなんて知られたら、きっと心配をかける。

「彩夏泣きすぎやからぁ〜(笑)」
真依が鼻声で彩夏を笑った。
「だってぇ〜。ひっ、真依もやん(笑)」
そんな二人の隣で杏子は涼しい顔して笑っていた。
「いつまでも泣いてんと、ほら、カラオケ行くでっ」
先を歩いていく二人の背中を少し見つめ、彩夏は学校を振り返った。


朔弥といつも話をしてた廊下。
体育する朔弥を見ていた教室の窓側の席。
そして、部活に励む朔弥を見ていた、放課後の渡り廊下。


ここから離れて、高校に入ったら、朔弥のこと忘れられるのかな。




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