【短】涙が出るほど好きだった
―…いつもの帰りの別れ道が
永遠の別れ道になっちゃったよ…。
「お帰り~…柚姫?」
ぐちゃぐちゃな顔のあたしを見てお兄ちゃんがいった。
「…えへへ。あたし本当にかっこ悪いなぁ…。」
自分でも嫌になる。
「…柚姫?」
「…フラれちゃった。」
無理に笑った。
そうしないともうたってもいられないから。
「馬ー鹿…。」
そういったあとお兄ちゃんはあたしを抱きしめてくれた。
暖かい。
変わらないお兄ちゃんの香り。
「…そう…くん。」
でも今欲しいのは奏くんのぬくもりだけ。
「そー…く……」
彼の名前を呼べば呼ぶほど涙が出た。
苦しくて嗚咽がとまらない。
悲鳴をあげる心をギュッと握る。
もう
…終わったんだ。