キラめく堕天使
顔を見ると、彼女は待っていたように微笑んだ。

 彼女の身体をじっと鑑賞していたことを、見られていたのだ。

 はっ恥ずかしい。

 オレは自分の頬が赤くなるのを感じた。

「あたしはアメシス。元はアメジストなんだけど、上級魔族の気紛れで、魂を与えられて、人型になったの」

 紫色の小さな唇が言った。

 目はそれよりも大きくて、紫色の瞳が深く澄んでこっちを見ている。

「アメジスト?宝石なのか?」

 オレでなくとも目を疑うと思う。

 可愛く整えられた顔。やわらかそうな白い身体。

 どこをどうとっても、鉱物出身の生き物には見えない。

「どうして助けてくれるの?」

 訊くと、その瞳はいっそう深く澄んだ。

「あたしは何万年も宝石だったの。

意識がなかったからずっと何にも感じずにじっとしていたわ。

けれど、一旦身体を与えられてしまうと、宝石だったときの永遠のような永さが恐ろしくなったの。

あたしは気も遠くなるような永い時を、微動だにせずに送ってきたのよ。

ぞっとするでしょ」

「だから、助けてくれるの?」

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