キラめく堕天使

 そう、だったのか。

「あたしも充分眠ったことだし、一緒に逃げられれば心強いから、あなたを起こしたのよ」

「さっき口に入れてくれたのは?」

 ふふっとアメシスは笑った。

「アメジストの雫よ」

 面白そうに、オレを覗き込む。

「うそよ。

本当は何だかあたしにも分からないの。

ただ、あたしに魂をくれた魔族が、そのとき、あたしに垂らしてくれたものの一部よ」

 つまり、オレも間接的にその魔族に魂をもらったわけか?

「ううん。よく分からない。

とにかく逃げましょう。」

「どうやって?」

「ゴブリンは今、大広間で酒宴を開いているわ。

今夜は沢山良い宝石が手に入ったみたいで、上機嫌だわ。

そのうちのひとつはあなたなんでしょうけど」

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