キラめく堕天使
 オレは、ゴブリンたちに物としてしか見られてなかったことに改めてぞっとした。

「見て」

 言うと、アメシスは横にすっと飛んで、オレのいる玉座の背の面した壁に近づいた。

 そこには明り取りの穴らしき円いくぼみがあった。それには木の扉が付いていて、今は
固く閉ざされている。

 オレは玉座を転げ落ちた。

 まだ力の戻りきってないらしい身体では、その方が楽だったからだ。

 黄金がオレを飲み込むじゃらりっという音が響いた。

 けれど、ゴブリンたちは、見張りすら立てていないのか、音に気付かなかったのか、やってこなかった。

 オレは少しの間、黄金に身をうずめて身を休めると、渾身の力を込めて立ち上がった。

 積まれた黄金が足をすくってフラフラする。

 アメシスはじっとそんなオレを見ていたが、オレが窓に近づくと、それを大きく外側に開いた。
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