キラめく堕天使
 見開いた目で、ねずみを捉えて、右手が動いた。剣を左手に投げて持ち替えると、その剣先をねずみの顔目掛けて突き出した。

 ねずみは森中に響くような叫び声を上げた。

「しまった。」

 オレは剣をねずみから引き抜くと、さやに突っ込んで、

「逃げるぞ。」

 オレに言った。

「超低級魔族が集まってくる。」

 オレは、目の前にあった枝に飛びついて、何度か体を揺すると、枝の上に跳び上がった。

 それから、更に上の枝に跳び移った。

 そこは枝に葉っぱが繁り、オレの体を隠してくれた。

 相変わらず苦しげな悲鳴をあげ続けているねずみを見下ろした。

 黒い影が恐ろしい速さで近づいて、ねずみに突進した。

 いや、食らいついたのだ。

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