キラめく堕天使
一気に、行く気が萎えるから。

 なんて薄情なんだろう。

 いわばオレは魔界へ送り込まれた、人間界からの勇者なのだ。

 その勇者が、遠いな、嫌だな。などと思っていいのだろうか。

 オレは笑ってしまった。

 と、自分の笑い声に混ざって、何かの音がした気がした。

 黙って聞き耳を立ててみる。

 キーンキーンと、音がする。

 何かを掘っているような音だ。

 岩に彫刻でもしているんだろうか。
 
 音のするほうへ歩いてみた。

 
< 96 / 212 >

この作品をシェア

pagetop