キョムソーヤの茶番世界
第2章
炎天下のした、俺の意識は自分のなかに戻ってきていた。

白昼夢を見るように意識のなかで夢見ていた。


一度も会ったこともない女が俺の背後から俺の腕をとった。
女は黒い髪のショートカットに眼鏡をかけていていかにも真面目そうな女だった。
いえば図書館に勤めているような女。
緑のカーディガンに白いシャツがいかにもそんな風な格好で男なら誰しも猥雑さを抱くような女だった。

女の目が輝いて見えた。

普段とは違うお洒落をして自分に自信があるような感じがした。
腕を捕まれた俺は初対面の相手にたじろいだふりをした。
女は俺を見つめ突然唇を合わせてきた。
俺は女の唇のやわらかさに呆然としていた。

女は男に情欲を燃やさせる女だった。

俺は強引に女の着ているものを強引に剥がし、そこから裏手の下水道の水路の影までひっぱって女を抱こうとした。
もどかしいことにどこからでも二人の姿が覗ける場所でふたりは立往生していたが・・・。


意識が完全に目覚めたときは炎天下のアスファルトのうえでもがいていた。

背中が熱い。

俺は背中をねじった。
意識はあるのだが自分の体がいうことをきかない。
仰向けのまま俺は何度か海老ぞりになって背中の燃えるような熱さを回避しようとしたがやっぱり体を動かす動ことは不可能だった。

「くっそ、誰も助けてくれないのかよ。」

俺はその場でもがき暴れて熱さに耐えることしかできなかった。

目のまえに男が通りかかった。
男はいつもバックを抱えて俺が働いている部署のフロア階のトイレを使っていた顔見知りの奴だった。

俺が入るといつも歯磨きをしながら姿鏡を見つめている。
短足に童顔。どう見ても女にもてたいがためお洒落をしているより、マザコンで几帳面な清潔な男にしか俺には見えない。
俺はやつを軽視していた。

俺の顔を何度かは見ているだろう、同じ会社の人間が倒れて苦しそうにもがいているんだ助けるなりなんらかの気を払うものだろう。
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