雨に恋した華
「どうしたの?」


あたしは慌てて笑顔を繕った後、平静を装って笑みを浮かべた。


「更科さん、知らない?」


「え?……千晶?」


「うん。さっきからずっと探してるのに、どこにもいないんだよね〜。携帯にも電話したんだけど、何回掛けても出ないしさぁ……」


その女子は困ったような表情で言いながら、あたしを見た。


「ごめんね、あたしも知らないんだ……」


「そっか、ありがとう」


彼女は肩を落としながらため息をついて、踵を返した。


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