グリンダムの王族
明るい日の光の中、ゴード王国の上空を大きな鷲が旋回していた。
その下には黒い石造りの巨大な王城が聳え立っている。

鷲はやがて高度を下げ、迷いなく城に近づいていく。
そして城の中にある小さな小屋の上に舞い降りた。そこに置きつき、立派な翼を畳む。

それに気づいた男が小屋の側に来た。そして口笛を鳴らす。
鷲はそれに応えるように、再び翼を広げた。
そして男のもとへと飛んで行った。

男は自分の腕に鷲を止まらせると、その足に付けてある書簡を慣れた手つきで開けた。
中から丸まった小さな紙を取り出す。
それを見ながら、男は城の方へと歩き出した。



「ギルバードから報告がありました」

ゴード王国のガルバ王のもとに、将軍から報告が入った。

ガルバは王は40を超えているが、その目はまだ鋭気に満ちている。
強いクセのある黒髪と黒髭が、彼の迫力を増している。
獰猛な獣を思わせる男だった。

ガルバ王は将軍の言葉に、「なんと言っている」と問いかけた。

「グリンダムの王妹とファラントの王子の婚姻が決定し、
間もなく王子はファラントに旅立つとのことです。
王弟も婚儀に参列するため、やがて国を離れるとのことです」

「ふん、、、」

王は鼻で笑った。

「王妹と王弟が居なくなったところで、あいつはまだ王に近寄れる立場にない」

将軍は頷く。

「そのとおりですが、わずか3年の間に近衛騎士隊の騎士となっております。
現在の隊長が退役した際には、ギルバードが近衛騎士隊長となる可能性が高いと聞いております。」

王は特に表情を変えることなく、「早くそうなることだな」と言った。

将軍はそれ以上何も言わなかった。報告を終えたという意味で頭を下げると、王の部屋を退出した。

ガルバ王はそれを見届けると、目を宙に向けた。
< 112 / 265 >

この作品をシェア

pagetop