グリンダムの王族
「山賊が出るかぁ。
あの街に、、、」

議会の後、いつものように2人だけになった部屋でカインが呟いた。

ラルフもそれについて何かを考えているようだった。
少しの間口元に手を当てたまま、目を伏せて黙っていた。

「、、、外国の奴等かもしれない」

不意にラルフが呟く。
シャナンはのどかであまり栄えていない街だった。
貧しくはないが、農業が盛んな地味な土地である。
人口も多くない。

「狙いやすくはあるけど、そんなに儲けられないもんな」

カインの言葉にラルフが頷く。

「儲けを考えずに、山賊を働きたかっただけ、、、と、いう気がしないでもない」

カインはその言葉の意味が分からず、不思議そうにラルフを見ていた。

ラルフは首を振ると、「いや、なんでもない」と話を濁す。

「そんなことより、、、」

ラルフは言いながらカインを見た。

「最近、俺の後宮には行ってないようだな。姫君達が寂しがってたぞ」

カインは「あぁ、、、」と言うと、「もう行かないかな」と呟いた。

ラルフはふっと笑みを浮かべた。

「侍女の真似事も、やめたんだろ?」

リズのことを言っているらしい。カインは頷いた。

「俺は別によかったんだけど、急に厨房に行かなくなった」

「それでいい。
お前は少し甘やかしすぎだったんだ。
いい薬だったな」

ラルフの意味深な言葉に、カインは「いい薬?」と聞いた。

「、、、本人から聞いてないのか?」

ラルフはそう言いつつ、「まぁ、そうだろうな」と独り言のように呟いた。
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