グリンダムの王族
ゴード王国では、ギルバードからグリンダムの近衛騎士隊長死亡の報が届いていた。

ゴード王国から派遣した兵士はことごとく殺されたが、それはガルバ王の予定していたことだったので気にしなかった。

もとより山賊として現れた者達を、逃げ帰らせるはずはない。

兵士達はそこまで承知していたかどうか分からないが、それは王にとってはどうでもいいことだった。

大きなものを手にいれる前に、多少の犠牲はつきものだ。

王はギルバードの報告に満足したような笑みを浮かべていた。



当のギルバードは苛立っていた。

予定通り近衛騎士隊長の座を空けたはいいが、次期隊長がなかなか決定しない。
自分になるか、アランになるか。
それによって次の動きが決まる。

ギルバードはつい、アランに「隊長の座がいつまでも空いていると困るな」とぼやいた。

アランは「そうだな」と言っただけだった。

大きなため息をつくギルバードを、アランは静かな目で見つめていた。
< 179 / 265 >

この作品をシェア

pagetop