グリンダムの王族
そんなある日、セシルのもとにグリンダムからの書状が届いた。

書状には王が急病のため、一時グリンダムに戻るようにと書いてあった。
セシルはそれを見て固まった。

―――ラルフが病気??

本当だろうかと、とっさに思った。
病気だったとしても彼は気弱に妹を呼び寄せるような男ではない。
本当だとしたら、かなり重いと思えた。



その夜、湯殿でのんびり一日の疲れを癒したセシルは火照った体に夜着を纏ってそこを出た。

そして寝台に向かい、そこに胡坐をかいて座る迷惑な存在に気付く。

「遅いぞっ」

勝手に待たされていたクリスが顔をしかめている。
今夜はいつもより早く来たらしい。

先ほど癒したはずの疲れが舞い戻ってくるような脱力感を覚えつつ、セシルはやれやれとため息をついた。

けれども丁度用事があったのだったと思い出す。
セシルは寝台の側のテーブルに向かうと、そこの引き出しにしまってあった書状を取り出した。

そしてそれをクリスに差し出すと、

「今日グリンダムから届いたの。
兄が病気らしいわ」

と言った。

クリスが驚いたように目を丸くする。そしてその書状を受け取った。

「ちょっと国に戻ってきてもいい?」

まさかダメと言いはしないだろうと思いつつそう聞いた。
クリスはしばらく書状を見たまま黙っていた。その内容を確認し、顔を上げる。

「―――俺も行く」

セシルは目を見開いた。
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