グリンダムの王族
その夜、クリスとセシルには別々の部屋が用意された。

それは当然夫婦仲がいいとは言えない自分達のためのラルフの配慮と思えたが、セシルはどうせクリスがやがてやってくるだろうと思っていた。

けれどもクリスは来なかった。
セシルは久し振りにのんびり1人で寝台を使っていた。

「めずらしい」

セシルは意外な気持ちで呟いた。
それでも正直ほっとしていた。
なんとなくグリンダムでは、、、嫌だ。
そんなこと思っても仕方がないのに、セシルはつい思っていた。

寝台に寝転がりながらぼんやりと宙を見る。
もう遅いのに、眠気はまったくやってこなかった。

セシルは体を起こした。
そして寝台を出ると、夜着の上にガウンを羽織った。



夜の庭園を歩きながら、セシルは昔を思い出していた。

ここでよくアランと剣の稽古をした。

―――懐かしい、、、。

セシルは長椅子に腰掛けた。
ぼんやりと夜の冷たい空気を感じている。

ますます目が冴えてしまいそうだった。

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