グリンダムの王族
「あいつは王族だからってだけで、文句も言わずに俺と結婚してさ。
本当はあいつにだって、、、」

―――泣くほど好きな男がいたのに、、、。

言葉にならなかった。クリスの目から涙がこぼれた。
驚いたように自分を見るリズの前で、クリスは涙をこぼした。そうしながら、苦笑した。

「ごめん。情けない、、、。
こんなんだから、あいつに嫌われるんだ、、、」

言いながら片手で目を覆った。
そしてまた長椅子に座る。片手で顔をかくしたまま、クリスは俯いていた。
黙ってクリスを見ていたリズが、ゆっくり彼に近づいた。

その手が彼のライトブラウンの髪に触れた。
やさしくその頭を撫でる。

「セシル様を好きなんだね、、、」

リズが囁くように言った。
少し間をおいて、クリスが「うん、、、」と応える。

「良かった、、、」

リズが言った。その言葉にまたクリスの目から涙がこぼれる。

クリスはリズの暖かい手を感じながら、ただとめどなく、涙を流し続けた。

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