グリンダムの王族
「ダメっていうか、、、。皆が緊張しちゃうから、、、」

「俺はセシルを見てるだけだよ。」

クリスは目を伏せたままそう言った。セシルはその答えに、2,3度瞬きをした。

「あ、、、そう、、、」

そうだとしても、皆は自分達が監視されてると思ってしまうわけだが。
どう説明したらいいのか分からない。

「俺、どうしたらいいんだよ、、、」

クリスが呟いた。
相変わらずその目は伏せられている。

まるで独り言のようなその言葉に、セシルは「え?」と問いかけた。

「触るのもダメ、見るのもダメじゃ、俺、一生セシルに近づけないじゃん、、、」

クリスが苦しげにそう言った。セシルがまた瞬きをした。
彼の言葉を頭の中で反芻する。

そして不意にその意味を理解し、セシルは目を丸くした。

「もしかして、、、」

そう言ってまじまじとクリスを見ると、「我慢してたの、、、?」と聞いた。

最近全く部屋に来ないのも、触れてこないのも、自分が言った言葉のせいだったらしい。

「俺はセシルの気持ち無視するから嫌なんだろ?」

セシルは言葉を失くす。確かにそう言った。

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