グリンダムの王族
「でも、だったらセシルにいいって思ってもらうためには、俺、どうしたらいいわけ?」

クリスが訴える。その目は真剣だった。
呆然とするセシルを見て、クリスが言葉を止める。そしてまた諦めたように目を伏せた。

「結局どうしたって、好きになってもらえるわけじゃないし。
触りたいと思ったら、セシルの気持ちなんか無視するしかないんだよ、、、」

そう言って目を閉じる。

「、、、あっち行きなよ。もう見ないから」

セシルはそんなクリスをじっと見ていたが、やがてふっと微笑んだ。

「そっか、、、。我慢してくれてたわけね、、、」

セシルの言葉に、クリスが目を上げた。セシルの微笑みに、戸惑ったように彼女を見ている。

何を言っても通じないと思っていた。
どうせ自分のことしか考えていないのだと。

そんな風に諦めて、今まできちんと話したこともなかったことを思い出す。
セシルは一呼吸置くと、改めて口を開いた。

「別にいいよ、触るのは」

セシルはそう言うと、「乱暴にしないで欲しいだけ」と付け加えた。クリスは黙ってセシルを見ている。

「乱暴にしたつもりない、、、?」

セシルの問いかけに、クリスは何も言わずに俯いた。

「私は乱暴だと思ったの。
もっと優しく触れて欲しかった」

セシルが重ねて言った。けれどもその口調は、穏やかだった。

「ごめん、、、」

クリスが小さく呟く。
セシルはクリスの言葉に微笑むと、彼の頬にそっと触れた。

クリスが驚いたように目を見張る。
そんな彼に一歩近寄ると、目を閉じて顔を寄せた。

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