グリンダムの王族
そんなある日、近衛騎士隊に将軍から指令が下りた。

「10日後、王がアルンハイム王国へ国王会談のため向かわれる。
近衛騎士隊の数人を同行随員として選出しろ」

ギルバードはその指令に目を見開いた。

―――王が国を出る!?

それは願ってもいないことだった。

国王は国を出る用事はたいて王弟に任せ、自分は滅多に国を離れることはない。
国を離れれば当然護りは薄くなる。

しかも自分は隊長なのだから、当然同行することになる。
国王を“護る”立場の者として。

この機をおいて他にない―――。

「かしこまりました」

ギルバードは頭を下げながら、密かに口元に笑みを浮かべていた。



その夜、ギルバードの鷲は再び空へと飛んだ。

王が10日後に国を離れることをゴード王国のガルバ王に伝えるためである。
恐らく決行の指示が来るに違いない。
彼はそう思いながら飛んで行く鷲を見送った。

その姿を、遠くから見ていた人影が、ゆっくりとその場を離れた。
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