グリンダムの王族
ギルバードが鷲を飛ばした深夜、アランは王の部屋を訪ねた。
最近彼の件で王の部屋に来るのはもっぱら夜中だった。

自分と王が連絡を取り合っていることを、ギルバードに気付かれないようにするためである。

「先ほど、鷲を飛ばしていました」

アランが報告した。

ラルフは、「やはりな」と呟いた。
予想とおりの行動だった。

「すぐに鷲は戻ってくるだろう。
それを確認したら、再度報告してくれ」

ラルフの言葉にアランは「かしこまりました」と頭を下げた。



翌日ラルフはカインを部屋に呼び出した。
カインが来ると、ラルフは人払いをした。
その行動で、カインの顔に緊張が浮かぶ。

ラルフはその表情に応えるように頷いた。

「思ったとおり、動いたぞ。
ギルバードがゴードと連絡を取った。
鷲が戻り次第、予定を早めてアルンハイムへ発つ。
ゴードは10日は動かない。
その間に距離を詰めるぞ」

予想していたのだろう。
カインは特に驚かなかった。
黙って頷く。

そしてふと思いついたように口を開いた。

「予定を早めた後、時期が早まったってことを、鷲を使って報告されないかな?」

「、、、恐らく無い」

ラルフは落ち着いた声で応える。

「鷲を飛ばしてグリンダムを出てしまえば、もう連絡を取る手段が無くなる。
目的を果せたかどうかを知らせる必要があるから、鷲は留めておくだろう。
鷲はグリンダムとゴードの往復しかできないだろうからな」

カインは納得したように頷いた。

「分かった。それじゃ、俺はラルフが出た後すぐにファラントに向かう」

「、、、そうしてくれ」

ラルフはそう言って笑みを浮かべた。
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