グリンダムの王族
その瞬間、ラルフが剣とは反対の手に持っていたグラスの中身をギルバードの顔めがめてぶちまけた。

意外な攻撃に足が止まる。一瞬何も見えなくなった。

その瞬間、ラルフの剣がギルバードの右手首を切った。
筋を切られ、ギルバードの手から剣が落ちる。

そして次の瞬間には、ギルバードの太腿にラルフの剣先が入っていた。

「、、、うあっ、、、!!」

ギルバードが声をあげて倒れこむ。

ラルフは彼の動く方の手を足で踏みつけながら剣を抜き、彼を見下ろすようにして立つと、その剣先をギルバードの首に向けてとめた。

動脈を切ったのか、ギルバードの足からは激しく血が噴出していた。

「、、、答えろ。
ゴード国王の計略なんだな?」

ギルバードの金色の目は手足を切られても鋭く光っていた。
真っ直ぐラルフを睨み返す。

「目潰しを使うとは、、、卑怯だな」

ラルフはふっと笑みを漏らすと、

「闇討ちも卑怯だ。見習わせてもらおう」

と応えた。
そして、「お前はゴード王国の手先だな」と再度聞いた。
ギルバードは笑みを浮かべた。

「何のことだか分からないな、、、。
俺はお前が気に入らなかっただけだ」

激しい出血のせいか、ギルバードが苦しい息を吐いた。
ラルフはそんな彼を冷たく見下ろしていた。

命が消えかけた今も、主君への忠誠を貫く。
それは騎士として立派な姿だと言うしかない。

「、、、そうか」

ラルフが呟いた。

「、、、よく分かった」

ラルフはそう言うと、持っていた剣を握りなおした。
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