グリンダムの王族
しばらくして、鍵は小さな音を立てて開いた。
ギルバードはそっと扉を押した。扉は抵抗なく開いた。
次の瞬間、彼は部屋の中に素早く体を滑り込ませた。

部屋に一歩入り、ギルバードは足を止めた。
そして凍りついたように固まる。彼の目が大きく見開かれた。

そこには王が居た。

暗闇の中、窓を背に、まっすぐ自分に向かって立っている。
わずかな月明かりが、彼の表情を照らし出す。
彼は薄く笑みを浮かべていた。まるで現状を楽しんでいるかのように。

ギルバードはとっさに状況が理解できずに目を見開いたまま王を見ていた。

「、、、ゴード国王の計略だな?」

ラルフが確認する。ギルバードはその声に我に返った。

―――知られていた。

そう思った。

それならばもう後に退くことはできない。

ギルバードは剣を握りなおすと、何も言わずに王へ向かって走った。
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