グリンダムの王族
ファラント王国は、ここグリンダム王国に比べて小さい国である。

豊かではあるが、グリンダムのような強大な軍事力は持たない。そんなファラント王国に対して、今回グリンダム王国の方から婚姻の申し込みがあった。

これはファラントにとっては願っても無いことだった。

ファラントの王はまだ38と若く第2の妃を迎えることも可能だが、大国グリンダムの王妹を第2の妃に迎えるなどという失礼なこともできない。

そこで年齢的にも近い第一王子が、自然と結婚相手として選ばれたのだった。

目の前でふてくされている第一王子の名前はクリスという。

クリスはこれから形式上、花嫁と顔合わせをするわけだが、すでに話は決まっているようなものだ。つまりは”どうぞよろしくお願いします”という挨拶に向かっているところである。

グリンダム王国城への道を、馬車はゆっくりと進んでいった。
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