グリンダムの王族
その頃グリンダム王国城では、議会が開かれていた。

若い王が玉座にゆったりと腰をかけている。クセのないブラウンの長い髪は肩のあたりでゆるく束ねられており、じっと前方を見る切れ長の目は綺麗な緑色をしていた。

大臣が立って発言しているのを黙って聞いている。

「領主の報告によると、
南の都市ライラでは先日の大雨の影響で一部農地がひどく荒れたそうです」

王は形のいい眉を少ししかめてみせた。

「、、、そうか。あそこは川が近くて氾濫の影響が出やすいからな」

言いながら将軍に目を向ける。

「近く騎士隊に視察に行かせよう。状況によっては例年通りの納税は難しいだろうな」
「かしこまりました。派遣いたします」

将軍は王の言葉にそう応えると、一礼した。若い王も静かに頷く。
その落ち着いた様子は、何年も前から玉座に座り続けているようにも見える。

実際は彼が王位を継いだのは、2年ほど前で彼が23歳の時だった。
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