グリンダムの王族
2年前、彼の父である前王は自ら王位を退いた。前王はまだ若かったのだが、その頃最愛の妃を病により亡くしていた。

仲のいい夫婦だったためか、王はすっかり力を失ってしまい、息子に王位を任せて隠居生活に入ってしまったのだ。

前王と王妃には3人の子供が居た。

1人目が現在王位についている25歳のラルフ。
2人目が現在19歳の王弟、カイン。
3人目が現在18歳の王妹、セシル。

「、、、そういえば、ファラント一行は今日到着予定だったな」

ラルフが思い出したように言った。ラルフの隣に居る宰相が、「本日夕刻になると思われます」と答える。

「、、、セシルはどうしている?
迎えの用意をさせておくよう、女官に言っておけ」

ラルフの言葉に、宰相は頭を下げて応じた。

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