グリンダムの王族
2人はいつものように寝台に座った状態で、お酒を飲んだ。
そうしながらアランは隣のセシルに改めて問いかけた。

「王子がセシル様に何を言ったのですか?」

セシルはその質問に少しの間黙っていたが、
思い出したようにちょっと笑った。

「”悪いけど、好きになれそうにないから、結婚できない”ですって」

アランは顔をしかめた。

セシルはグラスを揺らしながら、それを掲げるようにして眺めている。
グラスの中で、緋色のお酒がゆらゆらと揺れて光って見えた。

「驚いちゃった。あまりに子供っぽくて。
ある意味幸せよね。そんなこと言える時点で」

アランは何も言えずにセシルを見ていた。
彼女に対してそんな言葉を吐いたのかと思うと、クリス王子に対して怒りを覚える。
彼はセシルの立場や気持ちなど、考えたことはないのだろうか。
彼女が喜んで自分のもとへ嫁いでくるとでも思っているのだろうか。

アランはふと、また今日湖で見た光景を思い出した。

黙って何かを考えている様子のアランを見て、セシルは「どうしたの、、、?」と聞いた。

アランは彼女を見ると、「いえ」と言って首を振った。

セシルはグラスを寝台のサイドテーブルに置くと、アランに寄りそった。

アランがその肩を抱いて引き寄せる。
自分を振り仰いだ彼女に顔を寄せ、唇を重ねる。
絡み合うような熱い口付けに、セシルが甘い吐息を漏らした。
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