グリンダムの王族
その頃、当のセシルは城の庭園で、騎士を相手に剣の稽古に勤しんでいた。
男相手に剣を振るい、激しい音を響かせている。彼女が動くたびに、肩までの長さの癖のないブラウンの髪が揺れている。
やがて剣は騎士の手によってはじかれ、落とされた。
芝生の上に落ちた自分の剣を見ながら、セシルは綺麗な額に手を当ててため息をついた。
「あーっ、、、やられた」
目の前の騎士が頭を下げる。
「ありがとうございました」
セシルはエメラルドグリーンの目を見開くと、
「待ちなさい!もう一度よ、もう一度!」
と言って騎士の目の前に人差し指を立てて見せた。
騎士がそれに応えるように再度剣を構えなおした時、遠くのほうから「セシル様!」と呼ぶ声が聞こえた。
セシル付きの女官、マリアである。
セシルはマリアが自分のほうにやってくるのを見ながら、「時間切れか」と、つまらなそうに呟いた。
セシルは目の前に立つ騎士を見た。
背が高くたくましい体を持ったその騎士は、短い黒髪に、黒い瞳を持ち、精悍な顔付きをしている。
日に焼けて肌も黒く、色白のセシルとは、対照的である。騎士は、「では、またの機会に」と言って頭を下げた。