グリンダムの王族
ラルフはクリスの言葉に、「卑怯、、、?」と呟いた。
そしてふっと笑みを浮かべた。

「私はこの国の王なのですよ、王子。望むものは手に入れて許される立場にあります」

「彼女を望んでなんか、いなかったくせに!!」

クリスは思わず叫んだ。その場は異様な緊張感に包まれた。

王子の怒りも、王の行動も、その場に居る誰もが理解できなかった。

ラルフは笑みを消し、王子を見た。
その目の鋭さに、王子は背筋が寒くなるのを感じた。

「王子、、、。
改めて確認したいのですが、ファラント王国は我が国と婚姻による同盟を結ぶことを了承していただけますか、、、?」

射抜くような視線に、クリスは答えることもできずに立ち尽くした。
ラルフはそんな彼を見ながら、言葉を続けた。

「私はファラントといい関係を築きたいと望んでいました。
それが叶わないなら、この私の力を以って、
貴国を手に入れて見せましょうか」

その言葉に宰相が「な、、、!」と小さく声をあげた。
そして慌ててクリスを振り仰ぐ。

クリスはしばらく目を見開いたままラルフを見ていたが、やがてゆっくりと椅子に腰をかけた。そしてその目を伏せた。
それ以上、何も言う事は出来なかった。
代りに宰相が慌てて立ち上がった。
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