グリンダムの王族
リズはセシルを見た。そして思った。
セシルは彼女が自分にそう言ったように、前向きに考えようとしているのだ。
自分の運命を受け入れて、、、。

「明るくて、、、純粋な人です」

リズは思わず正直に答えていた。
セシルは頷くと、「確かに、、、純粋だわ」と呟いた。

「そういう言い方もあるわね」

独り言のようにそう言ったセシルを、リズはじっと見つめていた。

「カイン様は、、、」

リズが不意に口を開く。

セシルが”ん?”というように目を上げた。リズの方からカインの名前を出したので、少し意外そうだった。

リズはためらいつつ、「カイン様は、どんな方なんですか?」と聞いた。

その質問に、セシルは優しく微笑む。そして、「そうねぇ」と言って少し考えた。

「女好きで無節操ではあるけど、ラルフみたいに”女は政治の道具”って感じはないから結婚するならカインの方がいいと思う」

そしてちょっと笑うと、「あいつなりに、大事にしてるつもりらしいわよ。あなたの事」と言った。

リズはその言葉に昨夜の事を思い出した。
逃げ出した自分に怒るでもなく、話を聞いてくれた。
そして結局、なにもしないで帰ってくれた。
それでもリズは怖いことが少し先にのびただけだと思って、先が不安でよく眠れなかった。

―――後ろ向きだな、私、、、。

セシルを前にして、なんだか恥ずかしくなる。
クリスと結婚するセシルだって不安で一杯に違いないのに、明るく笑っている。

「私も、セシル様のように強くなりたいです」

思わずリズはそう言った。

その言葉にセシルはちょっと目を丸くしたが、やがてふっと微笑んだ。

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