グリンダムの王族
食事の後、セシルは「私はこの後稽古があるの」と言った。
リズは午後ずっとセシルと過ごすと思っていたので、意外に思って目を丸くした。
そんなリズの気持ちを察したのだろう。セシルはクスッと笑った。

「部屋で1人になってゆっくり休んで。
少し気を抜く時間が必要みたいよ。疲れた顔してるわ」

リズはその言葉に胸が熱くなるのを感じた。
彼女は自分のために、午後の予定を中止させてくれたのだ。
セシルはリズの背に手を添え、部屋の扉に導くように歩いた。

「侍女が部屋に居て落ち着かないと思ったら、”さがっていいわよ”って言えば居なくなるから。
勉強が面倒だったら”頭がいたい”とかいってサボればいいし、何も頑張る必要ないのよ」

「、、、ありがとうございます、、、」

リズは心からセシルに礼を言った。

生まれた時から王族として生活する姫。
その気苦労はリズが感じているものの比ではないに違いない。
彼女は誰よりも今、リズの気持ちを分かってくれている。
扉の前で足を止める向き合って立つ。セシルは穏やかに微笑んでいた。

「なにかしたいこととか、欲しいものとかあったら、カインに言うといいわ。
少し我侭言ってもいいのよ。相手はカインなんだから」

そしてクスッと笑うと、「ラルフにはダメだけど」と付け足した。

リズはその言葉に微笑みを返した。彼女の優しさが身にしみて感じられた。
怖くて仕方が無かった”王族”の印象が、リズの中で少し変わった気がした。

「今日は、本当にありがとうございました。とても気持ちが楽になりました」

セシルはその言葉に嬉しそうに微笑んだ。

< 86 / 265 >

この作品をシェア

pagetop