グリンダムの王族
寝台に座るリズの側に、彼も座ってリズを見ている。

そして小さく、「分かった、、、?」と聞いた。

リズは少し間を置いて、小さく頷いた。
カインはそれを確認すると、優しく微笑んだ。
そしてゆっくり顔を寄せる。
それを感じながら、リズはきゅっと目を閉じた。

暖かい唇が触れ合う感触に、リズの体が緊張する。
けれども抵抗せずに、それを受け入れた。
初めて会った時とは全く違う、触れるだけの、それはとても優しいキスだった。

少しの間重なり合っていた唇が、やがて離れる。
リズはそっと目を開けながらふぅっと息を吐いた。
どうしていいのか分からなくて、なんとなく息を止めてしまっていた。
至近距離でカインと目が合い、また心臓が跳ねる。

カインはそんなリズを見ながら困ったような笑みを漏らした。

「そんなに固くなるなって、、、」

何も言えずに、リズは困ったように眉を下げた。
顔が熱くなるのが分かる。緊張するなといわれても、男の人に触れられることにはやっぱりまだ慣れない。
戸惑うリズを見ながら、カインがちょっと吹き出した。

「ま、いいか。今日のところは」

カインはそう言って、リズの頬に軽く口付けた。
そして寝台を降りる。

ぼんやりその姿を見ているリズを振り返り、「部屋に戻るよ」と言った。

「、、、おやすみなさい、、、」

「おやすみ」

カインはそう言ってリズに微笑みかけると、背を向け、ゆっくりと部屋を出て行った。

リズは去っていく彼の背中を、ただじっと見送っていた。
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