ー親愛―




人が滅多に立ち入る事はない 非常階段の下




壁に押し付けられ 無理矢理 口を押し当てられる




その口からは 煙草の臭いと“あんたに惚れてる”と漏れる言葉




頭の中は真っ暗になり 自然とこぼれる涙




もっと早く聞きたかった台詞




頭を抱えられ 歯がカチっと当たるぐらい、唇が痛くなるぐらいの口づけ




ヌルッと生温かい舌が 入り込んできて、私の舌を引きずり出す




こんなの嫌だ…




嫌なハズなのに 抵抗できなくて




胸の奥がチクチクと痛いハズなのに 温かくて




今にも 頭がおかしくなってしまいそう




あまりにも激しく求められるKiss




眼鏡がカツっと音を立てて落ち バキッと踏まれる音がする




周りの景色がぐるぐると渦を巻き 私の視界をおかしくさせる




“んっ”




次の瞬間 服の上から胸を掴まれ揉みくちゃにされる







……………ああ。きっとこの人は こんな風にしか表現できないんだ




おかしくなりそうなのに どこかではとても冷静な自分がいる









もう どうにでもなればイイ



この人が私を求めるなら……………それだけで充分だ











< 127 / 166 >

この作品をシェア

pagetop