ー親愛―




そう思ってるのも束の間




先生は急に私の左手をグイッと引っ張って 長袖のシャツの袖を捲り上げ




“もっと自分に自信を持って…自分をいたわりなさい”




そう言っている先生の瞳が あまりにも真剣過ぎて




なんだか 全部見透かされてる気がした




私は少しの間動けずにいた




我に返って 腕を振り払い、慌てて捲り上がった袖を直す




どう言葉で表現してイイのか分からなかったけど…




ただ 気恥ずかしさと苛立ちが募って どうしても、いてもたってもいられなかった




持っていた書類とカバンを持ち 立ち上がり部屋から出た




部屋から出る時 “あなたは大丈夫よ!”と 一言聞こえたけど 頭の中が蒸気機関車みたいに噴き出しそうで その衝動を抑えるのに、精一杯だった




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