男子、恋をする

「何言ってんの。あんだけわかりやすーくアピールしてんのに……澪斗のニブちん」


「そうそう。鮎花の気も知らずに他の女の子のことばっか目で追っちゃって」


会長が良かれと思って入れたフォローはむしろ火に油を注ぎ……。


紙パックのジュース片手に俺たちの輪に紛れ込んだ乙部が那津の悪態に便乗する。


まじりっけ無しの事実ばかりを並べられてますます返せる言葉もない……。


「堅物真面目の会長ですら気付いてんのに……」


「だから澪斗は童貞なんだよ」


「関係ねぇし!」


またそれかよ!ってすかさずツッコミを入れる俺に、KYバカコンビはふんっと鼻で笑う。


事あるごとに童貞童貞って……童貞がそんなに悪いかよ!


なんて頭の中をカッカさせてた俺に、


「……いや。実を言うと俺もあの光景を見るまでは全く気付かなかった」


なんだか居た堪れない面持ちで会長がボソリと意味ありげな一言を呟く。


そんな会長に思わず俺たち3人は顔を見合わせた。


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