男子、恋をする
食堂中にモヤッとした変な空気が漂った刹那。
「やーん! 鮎花ったら恋する乙女全開じゃーん!」
「やっべ、あの鮎花姐がそんな可愛らしいこと……。キュンて来たわ、俺」
キャワイイキャワイイって連呼しながら騒ぎ始める乙部の隣で、那津が感慨深げに何度か頷いてる。
確かにビックリしすぎてある意味藁人形なんかより衝撃はあったけど……。
まさかあのポーカーフェイスにそんな乙女チックな一面があったなんて……近々地球が滅亡するかも。
そんくらい俺には信じられない!
だって!
自分から平気で胸を触らせたりするようなヤツだぞ?
なんかギャップがありすぎて頭が追い付かない……。
あっぷあっぷして自分がどんなマヌケ面を晒してるかなんて考える暇なんてなかった。
「鮎花姐にそこまでさせてるってのに。張本人がそんな情けない面してるなんてホント報われねぇな」
「なっ……」
そんな俺に見兼ねた那津が盛大な溜め息と共に俺の背中に蹴りを入れる。
上半身がぐらついてとっさに後ろの那津を睨んだけど、その5倍は質の悪い目つきで那津が俺を睨んでた。