男子、恋をする
そんな俺らの懸念なんて知る由もなく、
「だったらヒロインも当日まで非公開のスペシャルサプライズにしちゃえば良いんじゃね? ねっ?」
自信満々の顔で大声を張り上げた那津に、辺りが一瞬静まり返った。
そして、
「なるほど! それ良いよ!」
「でしょ? 客寄せにもなるし一石二鳥っしょ!」
手を叩いて大賛成する乙部に、那津は得意満面で鼻の穴を膨らませてる。
その内ハイタッチでもし始めるんじゃないかってくらい、二人のテンションは異様に高い。
……似た者同士。
那津と乙部を見てると、そんな言葉が頭の中を占めていく。
勿論、良い意味じゃないけど。
「で? 肝心のヒロインは誰がやるんだ?」
名案に歓喜する二人が、会長の雪山の猛吹雪のように冷たい声色にピタリと制止した。
打開策が見つかったとはいえ、肝心のヒロインが見つかったワケじゃない。
結局。
問題の核の部分は未解決のままだ。