男子、恋をする
せっかく名案だと思ったのに……。
あからさまに肩を落として、しょぼくれてしまったた乙部の顔にこう書いてある。
さっきまでのハイテンションが嘘のように、大きな溜め息すら零してる始末。
天国から地獄だな、まるで。
激しく変動していく乙部の向かいには、また険しい顔付きをした会長。
隣にはそんな二人を心配そうに見上げる寿梨。
んで、その横で一人にんまりと不気味に笑ってるのが、言うまでもなく那津。
……なんかまた、嫌な予感がするんだけど。
「何言ってんの! ここに相応しい娘が居るじゃない!」
「…………はっ?」
那津の空気をワザと無視して読まない発言と、しっかりと寿梨の肩に添えられた手に思わず呆気に取られてしまう。
「だってだって。こんなに地味……大人しいジュリエットちゃんが超可愛いヒロインになって舞台に上がったらみんなビックリするじゃん! サプライズ成功ー」
また地味って言ったな……コイツ。
饒舌にペラペラともっともらしく話す那津が、俺にウィンクしてきたから舌打ちした。
つくづくムカつく顔してんな。