男子、恋をする

放課後になり、ようやく始まる劇練習にのぞむべく生徒会室に向かっていた。


張り切った那津は放課後になるなりさっさと走り出して行ってしまった。


おまえは関係ないっての。


イライラして仕方無い。



それに。
昼間にあんな話を聞いてしまったせいか、生徒会室に向かう足取りが今日はヤケに重く感じる。



あの後いくら考えてみたって、寿梨の気持ちなんて微塵もわからなかった。



むしろ、同情してヒロインを引き受けたとしか思えない。



でなかったらなんでわざわざ嫌いな俺のヒロイン役なんかに……。


ああ……。
いい加減頭が痛くなってくる。




放課後の廊下で、悶々とする頭をガシガシと掻きむしっていた。


すると、


「マジ? 助かる! バイトの時間ギリギリなんだ!」


「うん……後はやっとく」



通りかかった教室から声がするなり、


「今度埋め合わせする! そんじゃあ」


入り口から駆け出してきた男子が中に向かって手を振り、俺の横を走り去っていった。



日直の仕事をバイトに遅れそうって理由で代わって貰ったってとこだな。



教室の中には黒板を消す女の子の後ろ姿だけがあった。
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