男子、恋をする
ここで嫌な顔とか怒った顔をしたりしたら、バカ那津の思う壺。
あくまでも、いつもの愛想笑いを崩さないように、
「那津。そんな風にしたら迷惑だろ」
そして努めて冷静な声色で那津を諭す。
ホントはぶん殴ってやりたいけど、そんなコトしたら築き上げた模範生徒の仮面が崩壊する。
「澪斗がジュリエットちゃんを視姦するような目で見てるからさ」
「おまっ、な……那津」
「やっぱり」
今度こそ本当に那津をぶん殴ってしまいそうになった。
それを必死に堪えたけど、顔面が引きつってんのが自分でもわかる。
ぽふぽふっと寿梨の頭を撫で、呟いた那津の言葉に乙部と会長は凍り付き、寿梨がこの世の終わり顔で固まった。
ただ一人。
納得して呟いた君原妹だけは、全てを見透かしたような鋭い瞳で俺を見つめている。
……いや、してないって。
会長までそんな顔しやがって。