男子、恋をする
俺が嫌がれば嫌がる程、俺の背中に抱き付く那津をぐっと腕で押し返せば、
「…………あ、の」
生徒会室の入り口で気配皆無で立ち尽くしてる寿梨の姿に思わず固まった。
まるでどっかで見たようなこの光景。
入り口の寿梨の俯いた顔が、枝垂れた前髪の隙間から見えた。
黒縁の間から揺れる瞳でこっちを見つめている。
……ヤバい、また見られた。
「あーっ! ジュリエットちゃん! やっほー!」
寿梨の存在に呆然と固まる俺に構わず、那津はいつもの調子で陰気なオーラの寿梨に駆け寄っていった。
目の前まで来た那津にオドオドと目を泳がせた後、
「あ……こんに、ちは」
ぎこちなくも小さく挨拶を返し、那津を見上げる寿梨が笑った。
……むぅ。
やっぱり、俺以外に嫌悪感は無いらしい。
……あの那津ですら。
何回見てもムカつくから無理矢理視線を台本に戻す。
いいさ。
……どうせ俺なんか嫌われてるさ。
「ちょうど良かったよ。ジュリエットちゃんに質問でーす」
ハイハイッと右手を挙げながら詰め寄る那津。
那津のバカさ加減に寿梨も不思議そうに小首を傾げてる。