ばうんてぃ☆はうんど・vol.3~ほーんてっどほすぴたる《改訂版》
 やがて、すぐ傍らまでやって来た。大の字になってうつ伏せに倒れてやがる。マズルで背中をつついてみるが、反応がねえ。ショック死したのかとも思ったが、呼吸はしてるようだ。
 思った通り、ナイトビジョンをしてやがった。声を上げる間もなく、気絶したんだろう。
 SWATなんかが使う黒のBDUを着た、大柄な男。ゴーグルを取って顔を見ると、おそらくは40代くらいだろう。どう見ても、10代や20代のストリートギャングには見えねえ。どっちかってえと、普段から良いもの食ってジム通いしてる、金持ちのおっさんに見える。
 おまけに、肩から下げてんのはP90。こんな上等な銃、言うまでもなく、チンピラやゴロツキが手に入れられるようなシロモノじゃねえ。
 どうもおかしい。ストークスじいさんから聞いてた話と違いすぎる。
 男の懐やポケットを探ってみる。IDや免許証は出てこなかったが、サイドアームのつもりなのか、50口径のデザートイーグルが出てきた。それも、クロームメッキ仕上げ。これは実戦用の武器っつーより、物好きな金持ちのコレクターズアイテムだ。
 目を覚ます前に、結束バンドで男を手近なパイプに縛りつける。ギャングどもを拘束するために、大量に持ってきておいたもんだ。
 巻き上げたP90やデザートイーグルをパクり、他にも、予備マガジンやナイフの類がないかとあちこち探っていると――不意に、通路の奥のドアが開いた。
 反射的にライトを向ける。ドアから出てきたのは男。ブラウンの髪。肩から、MP5とおぼしきサブマシンガンをかけている。やはり年の頃は40代くらい。
ライトで目が眩んだのか、一瞬こちらから視線を外す。が、すぐにMP5のマズルをこちらに向けようとしてきた。
「ちっ!」
 舌打ちして、俺はトリガーを絞る。先手を取ったのは俺だった。男はすばやくスチール製のドアの陰に隠れる。
「ギャングじゃなくて、やべえおっさんどものたまり場じゃねえか!」
 ドアに向かってバースト射撃を繰り返しながら、後ろ向きに廊下を走る。背中を向けて逃げりゃ、後ろから撃ってくださいと言ってるようなもんだからな。
 うまいこと、男はドアの陰から出られないでいる。時々マズルをこちらに向けようとするが、俺が撃つたびに銃を引っ込める。
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