空色


“はい。どなた?”

ドアをノックすると、昨日の女の人が顔を覗かせた。

気のせいか、泣いていたみたいに目が少し腫れて充血している。

“あの、朝からごめんなさいっ!昨日ぶつかったの覚えてます?その時これを、落としていったから。"

あたしが拾ったIDを差し出すと、彼女が一瞬びっくりする。

“昨日のっ!?やだ、あたし落とした事も全然気づいてなかった。わざわざ届けに来てくれたの?”

“ええ、近くのホテル泊まってるから。”

“ありがとうっ!良かったら朝食食べてかない?今日は一人なのに、いつもの調子で作りすぎちゃったから☆”

そう言うと、彼女はあたし達を部屋へ招き入れてくれる。


< 121 / 132 >

この作品をシェア

pagetop