空色
“はい。どなた?”
ドアをノックすると、昨日の女の人が顔を覗かせた。
気のせいか、泣いていたみたいに目が少し腫れて充血している。
“あの、朝からごめんなさいっ!昨日ぶつかったの覚えてます?その時これを、落としていったから。"
あたしが拾ったIDを差し出すと、彼女が一瞬びっくりする。
“昨日のっ!?やだ、あたし落とした事も全然気づいてなかった。わざわざ届けに来てくれたの?”
“ええ、近くのホテル泊まってるから。”
“ありがとうっ!良かったら朝食食べてかない?今日は一人なのに、いつもの調子で作りすぎちゃったから☆”
そう言うと、彼女はあたし達を部屋へ招き入れてくれる。