不思議の国のアイツ -暴走族総長純情伝-
「あ、そういえば、アヤの名前聞いて知っていたってことは、ルミさん、どこかでアヤにあったの?」
「え、う、うん。・・・昼休みに屋上でね。」
「アヤって変わらないな。アヤね、中学の時から、屋上が大好きなの。」
「そうなんだ。」
私達のことを『さん』づけで呼び、御薗綾のことは『アヤ』と呼ぶマイ。
それだけで、知り合い程度の関係ではないことは、想像がつく。
しかも、マイの表情を見て、アヤの言葉を思い出せば、何か問題があることも・・・。
私は、どうにかしてアヤの話題を変えたかったが、そのキッカケがつかめないでいた。
「ルミ~、マイ~、何の話してるの~?」
さっきまで、さくらと美咲と話していたミヤビが、私に抱きつきながら、話に入ってきた。
「え、いや別にたいした話じゃないよ。」
私は、これ以上、アヤの話を広げたくなかったから、ミヤビに適当に答えておく。
「ふ~ん。まぁ~別にいいけど。それよりも、さくらと美咲が、また、ケーキ屋に行こうってさ。」
「また?昨日行ってだめだったじゃない?」
私は、うまく話を変えてくれたミヤビに感謝しながら、ミヤビの話に乗る。