不思議の国のアイツ -暴走族総長純情伝-
「何、騒いでるの、ルミ?」
私は、つい、興奮して、大きすぎる声を出してしまっていたのだ。
「あっ、な、なんでもないから、お母さん。」
私は、焦った様子で母親に声を掛けた。
「あら、お客さん?」
母親は、コウの姿に気付いて、玄関の外に出てきた。
「久しぶりです、おばさん。」
コウが、丁寧に私の母親に挨拶をした。
「・・・あっ、もしかして、コウちゃん?」
母親は、昔と違いすぎるコウの姿に最初、分からなかったみたいだが、すぐに気付いた様子だった。
「はい!」
コウは、元気よく笑顔で答えた。
「まあ、まあ、大きくなって・・・それに・・・。」
母親の視線が、コウの金髪の髪に向けられる。
「・・・おかしいですか?」
コウが、少し恥ずかしそうに頭をかく。
「ううん。・・・よく似合ってるわよ。」
母親は、笑顔だった。