不思議の国のアイツ -暴走族総長純情伝-
「どうしたんだ?」
後ろから声がしたので、振り返るとそこにはコウが立っていた。
「・・・ねぇ、コウ・・・私、変な匂いがする?」
私は、自分でもわからないから、しょうがなくコウに聞いた。
今から学校に行くのに変な匂いをさせていたら、3年間言われ続けるかもしれない。
それなら、コウに聞いておいた方がまし。
そんな考えから、コウに尋ねた。
「ん?・・・いや、変な匂いはしないけど・・・あ!まさか・・・・やめろよ、ルミ!満員電車でオナラなんて。」
コウの声に反応して、周りのサラリーマンの視線が私に集中する。
「馬鹿、コウ!してないわよ!」
私は、自分の顔が一気に真っ赤に染まるのがわかった。
(もう・・・何で私、コウなんかに聞いたんだろ。)
私の胸の中に後悔が渦巻く。
(・・・ん?)
その時、気づいた。
私の周りに空間があるのではなくて、コウの周りに空間ができていることに。
そして、コウは、いつの間にか私の後ろについてきていた。