不思議の国のアイツ -暴走族総長純情伝-
「柴崎さん?」
家の玄関の前で立っていた私達に横から声がかかる。
「山下さん。」
母親がうれしそうに私達に声をかけてきたおばさんに駆け寄る。
2人はうれしそうに話し始めた。
「ルミちゃんもかわいくなって。」
「お久しぶりです、おばさん。」
私は、タイミングよく挨拶をする。
山下のおばさんは私も幼い頃によく遊びに行っていたから覚えていた。
「まぁ~、あの小さかったルミちゃんが、ちゃんと挨拶できるなんて。」
「私、もう高校生ですよ、おばさん。」
「そうよね。家のコウも高校になるんだから、ルミちゃんも高校生よね。」
「そいえば、コウくんは元気?」
私の母親が山下のおばさんに尋ねる。
「・・・元気っていうか、元気すぎて困るくらい。」
山下のおばさんはため息交じりに話す。
「そうなの?でも、男の子ならしょうがないんじゃないの?」
「そうなんだけどね・・・」
私は、母親とおばさんの話が私からコウに移った所で、1人で車から荷物を運んでる父親の手伝いに向う。