不思議の国のアイツ -暴走族総長純情伝-

(コウは今、どんな感じになってるんだろ?・・・たぶん、あのままなら、いまだにいじめられっこかな。・・・ただ、顔は女の子みたいな顔していたから、意外とモテテたら笑うけど。だって、あのコウだよ。)


私は、荷物を運びながら、ひとりで考えて笑う。


「ん?どうしたんだい、ルミ?」


そんな私を見て、父親がけげんな顔をする。


「ううん。なんでもないよ。」


私は、笑いながら答えた。


父親は、そんな私に相変わらず、けげんな顔を向けていたが、それ以上は聞いてこなかった。


そして、結局、車で持ってきた荷物は、私と父親だけで運んだ。


(まったくこれだからおばさん連中は嫌だよね。)


終わりの見えない井戸端会議に熱中している母親を遠くから私は見つめる。


「まぁ、久しぶりだからしょうがないよ。」


そんな私の心を読んだのか、父親が私の後ろから声をかける。


「そうだけど・・・」


「それよりも、疲れただろう?家の中でゆっくりしよう。」


「・・・うん。」


私と父親は、家に入っていった。


母親は結局、それから1時間後に家に入ってきた。




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