不思議の国のアイツ -暴走族総長純情伝-
少し離れた場所から怒号が聞こえてくる。
「・・・なんでもないよ。ルミは、ジュンの後ろに乗って安全な場所で待っててくれよ。」
コウが無理に笑顔を作っているのがわかる。
「ルミ、乗って!」
ジュンがコウと同じようなバイクに乗ってきた。
「ルミ、ちゃんとヘルメットかぶれよ!」
コウは心配そうな顔で私にヘルメットをかぶせる。
「コウ、ルミを安全な場所に置いたら戻ってくるからな!」
ジュンはバイクを発進させた。
そして、あっという間にコウが小さくなっていった。